納豆菌で発酵させる雑菌の混入なし
納豆の発酵に用いる納豆菌は、菌の中でも逆境に強いことで知られています。
納豆菌にとって過酷な環境になると、芽胞となって自らを守るという変化術をもっているからです。芽胞の状態では最強であるという納豆菌の特性を逆手に取り、日本では製造現場の徹底した衛生管理がスタンダードになっています。
設備や器具を加熱殺菌し、不要な菌、いわゆる雑菌を死滅させても、耐熱菌である納豆菌は死にません。清潔な製造現場は、納豆菌が不衛生な雑菌に邪魔されることなく、のびのびと繁殖するためにも好都合なのです。納豆が常に安定した品質と味わいを保っている背景には、こうした日本流の衛生概念があるのです。 もちろん、それを口に入れるわたしたちにとっても、衛生的な場所で作られたものであることは重要です。
芽胞
納豆菌は栄養状態や育成環境が悪くなると,周りに固い殻のような壁をもつ「芽胞」を形成します。
納豆菌を2日間培養した時の写真で,細胞のほとんどが「芽胞」になっていて,分裂しない休眠状態の写真です。
発芽
納豆菌は適性繁殖ができる環境になると、「芽胞」が割れて,栄養細胞が出てきます。写真はその状態をとらえています。その後,栄養細胞は分裂を繰り返し,繁殖してゆきます。
栄養細胞
「芽胞」から発芽した栄養細胞の増殖初期の写真で,栄養細胞が連なった状態です。1本に見えますが,くびれた所で1個1個の細胞に分かれています。
栄養細胞 → 芽胞 → 発芽 → 栄養細胞(繰り返し)
という生活環を納豆菌は取ります。